2017年10月26日木曜日

それらは日溜まりのように


お世話になった方を訪ねに、何年かぶりに降りた参宮橋付近は新しい店が増えていた。

以前、入った小さな居酒屋だった場所は可愛らしいcumin(キュマン)という可愛らしいカレー屋さんになっていて、思わずその引き戸をそっと開けた。

同じカウンター席のみのお店で先客が上体をかがめて通してくれた。
居酒屋の時、小さな店内でお客さん同士が譲り合い、店主のお兄さんを気遣い、優しい雰囲気が漂っていたけれど、お店の中身がまるで変わってもその朗らかな雰囲気は引き継がれているような感じがした。
お店の方に代わって隣の先客の方がメニュー表をとってくれた。

ほうれん草チキンカレーと、キーマカレーが半熟卵や、サラダやピクルスと一緒に盛られた鮮やかなプレートは薄い柔らかな黄色で、そういえばスプーンとフォークの持ち手や、それらが入ったポット型の陶の容器や棚に塗られたペンキの色など、この黄色はあちこちに散りばめられていた。
柔らかな薄い黄色があちこち響き合い、日溜まりの中で食べてるみたい。
小さな空間が穏やかさと美味しさを濃縮させるような気がした。

(cumin/参宮橋)