2015年9月30日水曜日
指さし確認
三河島の方にある額屋に行ったついでに日暮里駅の反対口へ出て、薬膳カレーのお店、じねんじょへ入った。
谷中見物らしいお客さんと常連さんが入り交じっていた。
ご主人は軽やかな手つきとどちらかの足を後ろ重心の軸足にスススッと翻りながら動くので、板張りの床がステージのように見えてくる。
でも口調は、しなやかな車内アナウンスのようで、お客さんが帰るたびに「忘れ物よーし!」と声に出して指さし確認するのだ。
伝票を書く手が左なのを見て、左利きの自分は親近感を少し感じた。
日替野菜カレーに黒ゴマ+山芋トッピング(生姜+紅花とどちらかを選ぶ)を食べてホクホクに温まった身体で店を出る際、私の分も指さし確認を声を出してしてくれていた。
(日暮里/じねんじょ)
2015年9月3日木曜日
まぼろしのようでいて確か
ブラン亭を出たあとは、まぼろしの場所へ行ったようなほんわかした気持ちになる。
銀座と新橋の間の大通りの脇を入った建物の暗い階段を降りた地下にあるカウンター数席の小さなお店。
ガス台に近い方は暑くて、反対側はクーラーが真後ろで冷えるその温度や、相当に使いこまれた鍋やヤカンや、1人で切り盛りするマシンガントークの優しい女性店主との会話も確かにあったのに。
止まったままの年季の入った壁掛け時計や黒のダイヤル式電話や、真っ茶色くなった「昔懐かしい蜂印香竄葡萄酒 あります。」の貼り紙、飾ってある大きなラダックの写真‥などなどがそう思わせるのか。
木皿泉脚本のドラマにでてくる店に入り込んできたような感じだ。
5種類から1つか2つ選べるカレーは、特に日替わりの豆のカレー(今日はパンダ豆)がすごく美味しい。
スパイスを知っている人が作る旨さながら、じんわりと優しい味なのがまた「まぼろし感」をもたらすのかもしれない。
しかと、現実の世界を歩きながらまたすぐに食べたいなと思う。
(銀座/ブラン亭)
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