2016年6月28日火曜日

ハシゴは急に渡されて② 〜上等な呑んべい〜



中谷さんが最初に連れて行ってくれたお店は臨時休業だった。 それではと、友達がやっている別のお店に行こうと向かったのが原宿のキャットストリートにある「ブリティッシュインディアンカフェ1930」だった。

赤が基調で可愛らしい店内に真っ赤なサリーを着た女性が座っていて気になっていたら、店主のギリさんの母親だった。
ドーサセットとナンとシーフドカレー、カッテージチーズカレー、チキンカレーなどを食べた。
自家製のジンジャーシロップのジュースも美味しかった。

お酒好きには、下戸は面白くないだろうと恐縮してしまう。でも中谷さんは下戸が面白くない酒飲みは酒飲みとして上等ではないんだと言い、カレーを食べる私をニコニコ見ながらビールを飲んでいた。

そう、中谷さんはとてもフランクな方なのだ。飲んべえにも下戸にも、年の離れた私たちにもギリさんにも、誰にでも。
数々のびっくりするくらいすごいお仕事のお話もケロッとする。そして全ての所作がスマートで少々の下ネタを言ったって品がある。
試しにほんの一口もらったシャンディガフは、のどがビリビリしたけれど(炭酸も苦手なのだ)思いの外美味しかった。

              (ブリティッシュインディアンカフェ1930/原宿)






ハシゴは急に渡されて① 〜昼は野菜に満ちる〜




まるちゃんと表参道のハブモアカレーでお昼ごはんを食べた。
ここのカレープレートは野菜とスパイスのおばんざい御膳といった感じだ。

使われている調理前の野菜を全部並べたら、さぞ鮮やかだと思う。そしてそれをポストカードにしてほしい。
ターメリックライスに、パープルからし菜とチキンキーマカレー、きみひめ(とうもろこし)とレタスのダル(レンズ豆のカレー)、バターナッツかぼちゃのアチャール(漬け物)、カボチャとカボチャの弦のポリヤル(ココナッツ風味のスパイス炒め)や、紅くるり大根と大納言小豆のドライカレーなど、滋味深いけどボリュームがあり満たされた。

その後、歩きまわり最後に寄ったタンバリンギャラリーで中谷さんと遭遇し、またカレーの話になった。界隈には美味しいカレー屋が多いのだ。話しているうちにまた食べたくなってきた。
中谷さんに夕食にカレーをご馳走しよう、とありがたいお誘いを頂き、こうしてまるちゃんと共に思わぬ「はしごカレー」をすることになったのだった。

                       (ハブモアカレー/表参道)





2016年6月23日木曜日

スタジアムのゲン担ぎ





「意外」とよく言われるけれど、昔からサッカーが好きだ。 Jリーグでは、チーム事情の変容に気持ちが付きつ離れつしながらも、ゆるりと浦和レッズを応援している。

久しぶりに埼玉スタジアムへ浦和レッズvsFC東京の観戦に行った。
スタジアムを目指して浦和美園駅から歩く道すがら、色々なフードワゴンが並んでいる。
焼きそば、ケバブサンド、カレーなどなど‥、お腹は空いていたけれど、決めきれずにスタジアムに入って売店を物色した。
その中で、「ロッカールームミール」というブースを見つけた。選手が試合後にロッカールームで食べるメニューらしく、今日はポークカレーとあり即決で買った。

前から2列目の、コーナーフラッグのすぐ目の前の席で、キックオフ前に食べた。ホクッとしたジャガイモとニンジン、豚肉がゴロゴロ入っていて、トマトの風味がして美味しい。
試合はあまりに不甲斐ない内容で前半を2点ビハインドで折り返し、意気消沈気味で向かえた後半に逆転劇が待っていた。3-2でレッズが勝ったのだった。
舞い上がり叩いた手のひらをジンとさせながら、今度観戦する時もカレーを食べようと思った。
そういえば前もカレーをスタジアムで食べたとき快勝したことがあったのだった。試合後のロッカールームミールならぬ、試合前のスタジアムスタンドミールは、ゆるいゲン担ぎのカレーである。

(ロッカールームミール、埼玉スタジアム/浦和美園)

2016年6月4日土曜日

誰かのお母さん



前に、ある人から聞いた話で、実家の母親が営む定食屋の看板メニューの名前を「お母さんの~」に変えたら、売上が伸びたということだった。
どこかのチェーンの飲食店のメニューにも、そんなのがあった気がするが、みんな本当に「お母さん」が好きなのだなと思った。 「お母さんの洗濯バサミ」とか「お母さんの布団」とか出したら売れるんじゃないだろうか。

池袋のランチハウスミトヤは、ランチタイム関係なく通し営業で、食事時には中途半端な夕方の時間帯にも男性客ばかり何組か入っていた。
壁にはぎっしりメニューの紙が貼られていて、「自家製チーズハンバーグ定食」や「カニクリームコロッケ3個定食」などなど全てボリュームがありそうだしリーズナブルだ。
そんな中、「お母さんのカレーライス」というのが目に付いた。「お母さん」恋しさは微塵もないが、頼んでみた。

ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、薄切りの豚肉の入った日本人が誰でも食べたことのある当たり前のカレーライスだった。 味噌汁も付いている。 
最近インド料理にかぶれている舌に「ああ、これがカレーライス」と記憶を蘇らせる味は、妙に美味しくスイスイ食べた。 

ホールもキッチンにみえるスタッフもみんな男性で、「『お母さん』どこ?」と思ったけど、あれは確かに、どこかの誰かのお母さんのカレーライスと感じてしまう味なのだろう。 

                         (ランチハウスミトヤ/池袋)