2016年6月4日土曜日

誰かのお母さん



前に、ある人から聞いた話で、実家の母親が営む定食屋の看板メニューの名前を「お母さんの~」に変えたら、売上が伸びたということだった。
どこかのチェーンの飲食店のメニューにも、そんなのがあった気がするが、みんな本当に「お母さん」が好きなのだなと思った。 「お母さんの洗濯バサミ」とか「お母さんの布団」とか出したら売れるんじゃないだろうか。

池袋のランチハウスミトヤは、ランチタイム関係なく通し営業で、食事時には中途半端な夕方の時間帯にも男性客ばかり何組か入っていた。
壁にはぎっしりメニューの紙が貼られていて、「自家製チーズハンバーグ定食」や「カニクリームコロッケ3個定食」などなど全てボリュームがありそうだしリーズナブルだ。
そんな中、「お母さんのカレーライス」というのが目に付いた。「お母さん」恋しさは微塵もないが、頼んでみた。

ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、薄切りの豚肉の入った日本人が誰でも食べたことのある当たり前のカレーライスだった。 味噌汁も付いている。 
最近インド料理にかぶれている舌に「ああ、これがカレーライス」と記憶を蘇らせる味は、妙に美味しくスイスイ食べた。 

ホールもキッチンにみえるスタッフもみんな男性で、「『お母さん』どこ?」と思ったけど、あれは確かに、どこかの誰かのお母さんのカレーライスと感じてしまう味なのだろう。 

                         (ランチハウスミトヤ/池袋)