つかみのピンク
「これでこれがこれになる?」
満面の笑みを携えながら店員さんが見せてくれた桂皮のようなスパイスのかけらを見てもピンと来ず、まるちゃんと顔を見合わせた。
出されたお冷やが、無味無臭ながら淡い飴玉のようなピンク色をしていたので、聞いてみたら、このスパイスに寄るものらしい。
やれ洋食か、やれ釜飯か、やれ中華か、と冷たい雨の浅草をまるちゃんと歩きながら、行き着いた南インドケララ州の料理屋のサウスパーク。
冒頭この不思議なお冷やの愛らしいピンクに心をほぐされたのだった。
インド料理には珍しく、ビーフカレーのミールスがあったので頼んでみたら、牛の出汁が効きつつ滋味深いスープのような感じで、じんわりと胃袋に染みた。
ジオラマみたいにスパイスが絡んだカリフラワーのフライもピリリと美味しかった。
下町のテーマパークみたいな立地で、不思議と癒やしと刺激がキラリと存在していた。
(サウスパーク/浅草)