2017年2月25日土曜日
雀の止まり木
学芸大学の駅のすぐそば、石田と「このすごい鳴き声なんだろう?」と上を見てたら、中華屋の`二葉´の赤い庇に寄りかかった木の茂みの中に雀がたくさん籠っていたのだった。
よく見れば、お店の庇には雀の落としモノの跡がたくさん。
店頭の煤けたメニューのサンプルも空きっ腹には誘惑で、久しぶりにゆっくり話そうと会った30代半ばの女2人が選ぶお店という感じではないかもしれないものの、入ったのだった。
入り口脇の本棚には「釣りバカ日誌」などが。壁に無造作に造花や古いケースに入ったジオラマが飾られている。有名人のサインもたくさん。会議室みたいなテーブルだったり、あんまり座り心地の良い椅子でなかったり、決して綺麗な店ではないけれど、年季の入りまくった味わいに頬ゆるむ「町中華」だ。
麺類にご飯もの、定食、単品では目玉焼きから色々な旨煮などなど、たくさんのメニューが並ぶ。
迷いながらえらんだのは、大ぶりで柔らかいレバーがゴロゴロ入ったレバニラ炒めと、小ぶりでカリッと焼かれた餃子、麺より具が多そうな上海五目焼きそば、そして素朴な佇まいの半サイズのカレー。
先に、半カレーを口にした石田が「このカレー正しいよ。」と言った。トロッとして優しく、懐かしいような、万人受けしそうでいて妙に奥深いような、そんな気になるだけのような、とにかくずっと食べていられる味のカレーなのだった。
どうか、なるべく未来までここに、雀の止まり木に寄りかかられたこのお店で食べられますようにと思った。
(二葉/学芸大学)