2016年5月20日金曜日
マンゴーと遊園
記憶にないけれど、ほんの小さい頃、祖父母の家から近い荒川遊園によく連れて行ってもらったらしい。
今は全く土地勘のないその近くに住む友人のわたべちゃんに会いに行った。
都電の線路沿いはカラフルなバラが茂っていた。荒川車庫前で降りて待ち合わせた。通り沿いで一際目立つ派手な看板の南インド料理屋、なんどりに入った。
ミールスにはパプリカのカレーとコショウのカレー、そしてマンゴーのカレーが付いていた。
「マンゴーのカレーは今週だけだよ。季節ものだから」と店主。
ンゴーの果肉とヨーグルトとココナッツミルクが入っている。決してデザートっぽい味ではないし、米とも合うのが不思議だった。
初めての味の余韻を口の中に残しながら、30年近くぶりであろう荒川遊園へ行った。
微塵も絶叫度のない芋虫型コースターも小さなコーヒーカップも観覧車も、ふれあい広場で、至近距離で見た見事な孔雀も羊の毛の感触も、ノスタルジアをおぼえるよりは新鮮な感動でいっぱいだった。
(なんどり/荒川車庫前)
2016年5月10日火曜日
黙々と幸せ
吉祥寺のハモニカ横丁にあるpiwangは、すこぶる小さいスペースのカレー屋だ。L字のカウンターに、お尻の大きな者には少し幅狭な長椅子には3人が座れ、角を挟んでもう2人分立席がある。
ツバの大きな帽子にロングの開襟シャツのスナフキンのような店主が小さな声で接客している。「店内の会話は小さな声でお願いします。」と張り紙にあった。
小声で頼んだチキンカレーとイカとトマトのカレーの2種盛りは、丸いお皿の真ん中に堤防のようにピシッと細い矩形に盛られたターメリックライスを境にそれぞれのカレーが注がれていた。
どちらもホールスパイスがゴロっと入ったサラサラのカレーで真ん中の米を崩しながら食べると交ざり合うけど美味しかった。
店内の5名になった(満員)客は、同じ2種盛りのカレーを注文していた。そのうち立席のカップルも含め黙々と食べていた。
ワイワイと会話を楽しむ食事も良いけど、独りでの食事も結構好きだ。ながら食いじゃなくて、ひたすら食べ物に向き合う。お皿のどこからどう手をつけようか考える。そして脳みそが味でいっぱいになる。
piwangではそうならざるを得ない。幸せな孤高の時間だ。
(吉祥寺/piwang)
2016年4月28日木曜日
彼女の好きなもの
久しぶりに紘子とゆっくり夜ごはんを食べた。
西新宿に立て込む飲食店は、連休前の最後の平日とあって飲み屋を中心にどこも早い時間から客入りが多い。
魅力的なお店が多い中、インド料理屋のムットに入った。
南北のインド料理の豊富なメニューにあれこれ迷いながら、紘子はビリヤニのセットを、私はウタパム(米粉に野菜を入れて焼いたもの)のセットを頼み、分けつつ食べた。
ビリヤニは骨付き鶏股肉がドンと一本入ってなかなかのボリューム、チキンカレーも付いている。
ウタパムは野菜カレーとココナッツソースを浸けて食べる。パチャリというココナッツがたっぷり入ったサラダも美味しかった。
「美味しい、美味しい」と食べながら、久しぶりで話すことが色々ありそうなものだが、なぜか好きな食べ物の話が続いた。
そういえば、長いつきあいながら、のんべいで甘いものも好きな食いしん坊ということは知っているが、紘子の好きなものといえばというと分かっていなかったかもしれない。
嫌いなものはなくて何でも好きらしい。その中にビリヤニやインド料理も仲間入りしてくれたことと思う。そうだといいなと思う。
(西新宿/ムット)
2016年4月20日水曜日
みぼうじんの野菜炒め
新橋の駅前のバラエティ豊かなテナントの入ったニュー新橋ビル。その3階、両隣が弁護士事務所の、みぼうじんカレーという店がある。
扉を開けると、およそ「みぼうじん」とは遠い若いはつらつとした女性店員が迎えてくれた。
カウンター越しに見えるキッチンでは、年長の女性がジュージューと鉄のフライパンを振るっていた。
壁際の黒板には「ひとりの体じゃないのよ 健康長寿の豆知識」とあり、以下のように書かれていた。
* * * * *
・クルクミンの力
・野菜を食べる(炒めて無理なく)
・R1乳酸菌の力(ラッシーにしました)
・高周波音楽(モールアルトです)
・適度な運動(速歩で帰りましょう)
* * * * *
「みぼうじん」て「未病」にもかかっているのかな。そしてこのしっとりしたBGMはモーツァルトだったのか・・。モーツァルトは早死にしたけれど。しかし決してカルト的な雰囲気ではない。新橋のサラリーマンが多いであろうお客さんの健康をケアする明るい清々しい店なのだ。
カレーはどれも野菜炒めが乗っかったもので、チキン野菜炒めカレーを食べた。
黒っぽいトロっとしたカレーとターメリックライスに、キャベツ えのき タマネギ もやしがたっぷりの野菜炒め、これがキッチンの女性が振るうフライパンの中味だったのだ。シャキシャキして美味しかった。
ボリュームたっぷりだけど、ちっともしつこさがない。
「速歩で」ではないけど、お腹が満たされつつも重くない身で店を出た。
(新橋/みぼうじんカレー)
2016年4月16日土曜日
好きあらば無粋
池袋の西口の飲食店ひしめくエリアにあるZEROという店で、ゆきえちゃんとランチのターリー(カレーなどのセット)を食べた。
ワインと天然酵母のパンが売りのお店らしいけど、インドカレーも食べられる。
ワイン好きといったら、グラスをゆらしながら講釈たれるような偏ったイメージが少しある。
カレー好きも、ちょっとインド(や、その周辺国)料理に詳しくなると、「いやね、実際インド人はあんまりナンは食べないんだよ。よくある大きいやつ、日本人が喜ぶから出してるだけなんだよ。ビジネス用よ。」なんて講釈たれていたりもする。
ターリーは、 バイーンと大きな「ビジネスナン」でなく薄焼きのチャパティが選べたし、バスティマライスもついきた。
「チャパティって何?」と聞かれて応えたのを皮切りに、「ラッサムはトマト味のスパイススープみたいので」とかほかのものも教える。ラムのカレーやキノコのカレーやサブジやココナツソースなど2人ともどれも美味しく平らげた。
食べたり飲んだりしながら講釈たれるなんざ無粋だなぁと思いつつ、好きなものを語る楽しさもあるのだ。愛あらばしょうがない、愛あらば面倒くさい。
(ZERO/池袋)
2016年4月7日木曜日
カウリスマキの配色
近辺に美味しい匂いを漂わすredbookは、外観はその名の通り赤い。
でも室内の壁は青緑で古くなった椅子の赤が鈍くも目立つ。棚に置かれた2匹の招き猫も赤い。
この配色が、アキ・カウリスマキの映画を彷彿とさせる。青緑の壁の部屋にソファーの座面や花などの赤が映えるようなあの感じ。
カウリスマキの映画はあまり美味しそうなものは登場しないけど、redbookのカレーはすごく美味しい。骨付きの鶏肉が入ったインド風チキンカレーはパパドも付いているし、ホールスパイスがバシッと入っている。タマネギをすりおろした手作りらしきドレッシングが美味しいサラダもいい。
そういえば、家の近くのTSUTAYAはカウリスマキ作品が減ってしまった。リバイバルの特集上映か新作がかかるのを待っていよう。
(redbook/中目黒)
2016年3月24日木曜日
スープのギャップ
現代美術館へ行くのに清澄白河で降りた。「キヨスミシラカワ」って口当たりが気持ち良いような、声に出して言いたい駅名だなぁなどと思いながら歩いていたらお腹が空いてきた。
商店街を抜けて、美術館のある大通りへ出る角にある南インド料理屋のナンディニに入った。
パンケーキのような米粉のドーサとサンバル(野菜カレー)、ピリ辛のココナツソース、タピオカのデザートのセットを食べた。
ドーサは練り込まれたニンジンとパセリが白地に映えて可愛らしく、フカフカですごく美味しかった。
サービスで出されたスープは何故かキッチュな絵のついたプラスチックの両取手の離乳食用のような器に入って出てきた。セットの入ったシルバーのプレートとの不釣り合いぶりときたら。
急がしそうに動くホールのインド人スタッフがそのスープをそーっと出すさまは妙に愛らしかった。
器に合わずスープは少ししょっぱかった。
(清澄白河/ナンディニ)
商店街を抜けて、美術館のある大通りへ出る角にある南インド料理屋のナンディニに入った。
パンケーキのような米粉のドーサとサンバル(野菜カレー)、ピリ辛のココナツソース、タピオカのデザートのセットを食べた。
ドーサは練り込まれたニンジンとパセリが白地に映えて可愛らしく、フカフカですごく美味しかった。
サービスで出されたスープは何故かキッチュな絵のついたプラスチックの両取手の離乳食用のような器に入って出てきた。セットの入ったシルバーのプレートとの不釣り合いぶりときたら。
急がしそうに動くホールのインド人スタッフがそのスープをそーっと出すさまは妙に愛らしかった。
器に合わずスープは少ししょっぱかった。
(清澄白河/ナンディニ)
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