黙々と幸せ
吉祥寺のハモニカ横丁にあるpiwangは、すこぶる小さいスペースのカレー屋だ。L字のカウンターに、お尻の大きな者には少し幅狭な長椅子には3人が座れ、角を挟んでもう2人分立席がある。
ツバの大きな帽子にロングの開襟シャツのスナフキンのような店主が小さな声で接客している。「店内の会話は小さな声でお願いします。」と張り紙にあった。
小声で頼んだチキンカレーとイカとトマトのカレーの2種盛りは、丸いお皿の真ん中に堤防のようにピシッと細い矩形に盛られたターメリックライスを境にそれぞれのカレーが注がれていた。
どちらもホールスパイスがゴロっと入ったサラサラのカレーで真ん中の米を崩しながら食べると交ざり合うけど美味しかった。
店内の5名になった(満員)客は、同じ2種盛りのカレーを注文していた。そのうち立席のカップルも含め黙々と食べていた。
ワイワイと会話を楽しむ食事も良いけど、独りでの食事も結構好きだ。ながら食いじゃなくて、ひたすら食べ物に向き合う。お皿のどこからどう手をつけようか考える。そして脳みそが味でいっぱいになる。
piwangではそうならざるを得ない。幸せな孤高の時間だ。
(吉祥寺/piwang)