夏のなぐさめ
まるちゃんとヴェヌスでノンヴェジターリーを食べた。
ボケっとしていた内臓が、スパイスのスパーリングを受けて気合いが入ったような気がした。
最近、暑さですっかり食欲をなくしていたのだ。
野菜のカレー、マトンカレー、キーマカレー、ラッサム、ワダ(豆粉の甘くないドーナツ)、チキンティッカ、シルバーのプレート上のタレントたちに気持ち良く打たれたり、ラッシーで舌先を甘やかしたりを繰り返す。
フィッシュカレーの思わぬ辛さには、辛いもの好きのまるちゃんもうつむいて赤くなりながら笑っていた。
日差しは肌に痛く、湿気はダルく、毛穴は開きっぱなし、さりとて冷房が強い場所には震え、氷の入った冷たい飲み物もお腹にひびくし、食べ物は傷みやすく虫も多い、夏が苦手だ。
対して、まるちゃんは夏女だ。この日の出で立ちは厚底サンダルにノースリーブのワンピースに高めに髪をおだんごにして、夏を楽しむ準備に満ち満ちていた。
夏が苦手な者を慰めつつ、得意な者に更に高揚を与えつつ、南インド料理は、気持ちよく満たしてくれた。
(ヴェヌス サウス インディアンダイニング/御徒町)