2016年5月31日火曜日

大人の上階



女性ばかり5人で食事をした。

銀座の博品館ビルへ入って、「最近はこんなオモチャあるんだねー」と油を売りつつ大人の一行はエレベーターで6階へ、カーンゲバブビリヤニというお店へ。
前にインド人に系列店を薦められて行って以来、ファンになったお店だ。

ここはもともと量が多い上、サービス品も出してくれるので、5人でそれぞれ頼んだものが並ぶとテーブルは絢爛豪華な様になった。
ビリヤニとマサラドーサ、大きなナンとロティ、キーマカレーにマドライカレー、エビとトマトのカレー。初めて食べたフィッシュヘッドカレーとニハリ(骨付きのラムが長時間煮込まれている)もすごいインパクト。

あれもこれも試したい女5人、右に左に手を伸ばし、分けたり、皿をまわし、しゃべり、いそがしい。
どれもなかなかスパイシーで、多少咽せつつ、水やラッシーもすすむ。

下の階は、オモチャでいっぱいの子供の夢空間(大人も楽しいのだけど)ながら、見晴らしのいいこの階で、大人には大人の楽しみを味わえるのだ。

                       (カーンゲバブビリヤニ/銀座)

2016年5月20日金曜日

マンゴーと遊園



記憶にないけれど、ほんの小さい頃、祖父母の家から近い荒川遊園によく連れて行ってもらったらしい。
今は全く土地勘のないその近くに住む友人のわたべちゃんに会いに行った。

都電の線路沿いはカラフルなバラが茂っていた。荒川車庫前で降りて待ち合わせた。通り沿いで一際目立つ派手な看板の南インド料理屋、なんどりに入った。

ミールスにはパプリカのカレーとコショウのカレー、そしてマンゴーのカレーが付いていた。
「マンゴーのカレーは今週だけだよ。季節ものだから」と店主。
ンゴーの果肉とヨーグルトとココナッツミルクが入っている。決してデザートっぽい味ではないし、米とも合うのが不思議だった。

初めての味の余韻を口の中に残しながら、30年近くぶりであろう荒川遊園へ行った。
微塵も絶叫度のない芋虫型コースターも小さなコーヒーカップも観覧車も、ふれあい広場で、至近距離で見た見事な孔雀も羊の毛の感触も、ノスタルジアをおぼえるよりは新鮮な感動でいっぱいだった。

                         
                             
                           (なんどり/荒川車庫前)

2016年5月10日火曜日

黙々と幸せ



吉祥寺のハモニカ横丁にあるpiwangは、すこぶる小さいスペースのカレー屋だ。L字のカウンターに、お尻の大きな者には少し幅狭な長椅子には3人が座れ、角を挟んでもう2人分立席がある。

ツバの大きな帽子にロングの開襟シャツのスナフキンのような店主が小さな声で接客している。「店内の会話は小さな声でお願いします。」と張り紙にあった。
小声で頼んだチキンカレーとイカとトマトのカレーの2種盛りは、丸いお皿の真ん中に堤防のようにピシッと細い矩形に盛られたターメリックライスを境にそれぞれのカレーが注がれていた。
どちらもホールスパイスがゴロっと入ったサラサラのカレーで真ん中の米を崩しながら食べると交ざり合うけど美味しかった。

店内の5名になった(満員)客は、同じ2種盛りのカレーを注文していた。そのうち立席のカップルも含め黙々と食べていた。
ワイワイと会話を楽しむ食事も良いけど、独りでの食事も結構好きだ。ながら食いじゃなくて、ひたすら食べ物に向き合う。お皿のどこからどう手をつけようか考える。そして脳みそが味でいっぱいになる。
piwangではそうならざるを得ない。幸せな孤高の時間だ。 
      

                              (吉祥寺/piwang)