2016年8月27日土曜日

昇り降りの選択



中学高校と神保町の女子校に通っていた。高2からはそこから歩いていける美術予備校に通っていて、1浪し足掛け7年神田神保町界隈に通った。

その後も古本屋をまわったり、展示を見たり、仕事の用であったりとこの界隈には度々来る。
高校まではせいぜい寄り道にファーストフードが関の山だったけど、今は「何食べよう」と楽しく迷う。
結局、さぼうる2で山盛りナポリタンを食べる率が高いのだけど、今日は店の外に行列ができていたのでやめた。

古いビルの狭い入り口に出てたメニューを見て、カフェヒナタヤに決めた。
手動式のドアの古いエレベーターは渋くてグっとくるものの、二重ドアは固めで重いし閉所恐怖症の気があるので狭さにハラハラした。
美味しいものにありつくための小さな、小さすぎる数秒の冒険のようだ。

4階のカフェ内はエレベーターとビルの感じからはガラッと雰囲気が変わり明るくてすっきりしていた。  
頼んだチキンカレーは カフェ飯とあなどるなかれの辛さで何度も鼻をかみ水を飲んだけれど、丁寧に作られている感じがしてすごく美味しかった。

帰りはあのエレベーターは避けて、やや急な階段を使ってそろそろと下りた。

                       
                                                                                                       (神保町/cafe HINATA-YA)

2016年8月3日水曜日

トロンプルイユと提灯






蒸し暑い夕暮れに、まるちゃんと恵比寿で待ち合わせた。駅近くの吉柳に入ろうとしたら、「予約で埋まっている」と言われ、がっかりしてそのまま駒沢通りを歩いた。

中目黒まで行くと、週末のお祭りに向けて商店街には提灯が飾られていた。その脇道にある小さな可愛らしいスリランカ料理屋のセイロンインに入った。

メニューに目移りして選んだのは、ゴータンバ(もちっとした薄い生地に香辛料で炒めた野菜を包んで焼いたもの)、フィッシュカレー、ほうれん草カレー、空芯菜とエビの炒めもの、ロティ、ジャスミンライス。

最初にでてきたゴータンバの皿が素敵だなと思ったら、縁取りの柄に一瞬見えたのは細長く切った人参とセルフィーユのような葉を組み合わせたものだった。
まさかのトロンプルイユに和んだ。

あとからジワッと効いてくる香辛料にコホコホしたり、ゲラゲラ笑ったり、珍しく真面目な話も美味しいものたちと共に進んだ。

店を出ると、暑さが和らいでいて涼しい風が吹いた。また提灯を見て「お祭り行きたいな」とまるちゃん。
人参と葉のトロンプルイユ、スパイスの香り、提灯、夜風…。
  こういう夏の夜の何気ない時というのは、後からフッと思い出したりするんだろうなぁと思いながら、ここに記す。

                           (セイロンイン/中目黒)