2015年9月3日木曜日

まぼろしのようでいて確か



ブラン亭を出たあとは、まぼろしの場所へ行ったようなほんわかした気持ちになる。

銀座と新橋の間の大通りの脇を入った建物の暗い階段を降りた地下にあるカウンター数席の小さなお店。

ガス台に近い方は暑くて、反対側はクーラーが真後ろで冷えるその温度や、相当に使いこまれた鍋やヤカンや、1人で切り盛りするマシンガントークの優しい女性店主との会話も確かにあったのに。


止まったままの年季の入った壁掛け時計や黒のダイヤル式電話や、真っ茶色くなった「昔懐かしい蜂印香竄葡萄酒 あります。」の貼り紙、飾ってある大きなラダックの写真‥などなどがそう思わせるのか。
木皿泉脚本のドラマにでてくる店に入り込んできたような感じだ。


5種類から1つか2つ選べるカレーは、特に日替わりの豆のカレー(今日はパンダ豆)がすごく美味しい。
スパイスを知っている人が作る旨さながら、じんわりと優しい味なのがまた「まぼろし感」をもたらすのかもしれない。
しかと、現実の世界を歩きながらまたすぐに食べたいなと思う。

                            (銀座/ブラン亭)